こちらでは、「新世器」と名付ける前、「焼かないやきもの」であった頃の新世器試作品や開発の歴史をさかのぼれるように試作品の写真を展示します。
「新世器」として醸成、試験販売の開始
2021年5月以降は、CNC粘土の成形精度の向上、塗の仕様の決定等々「新世器」を製品としての醸成に多くの時間を割きました。
新しい技術的発見もありました。また、木胎では作りにくい、粘土造形ならではの形にもこだわりました。
そして、2021年の8月に試験販売を開始しました。
2021年8月30日の日経産業新聞CNF特集ページの弊社広告に使用したカップの写真 朱塗りの和カップは宮城県庁にも1か月間鳴子漆器の新しい取り組みとして展示いただきました。
「新世器」の命名
2021年4月に、今の時代にあう新しい材料を使った、古くて新しい新時代の器として「新世器」というネーミングを思い立ち、「焼かないやきもの」改め、「新世器」を命名。
2度目の仕上げ依頼品の数々
この頃から、きれいに造形しすぎても何に塗っているのかわからなくなり、個性が消えるというジレンマが発生。この蕎麦猪口の完成度を確認できて「商品化できる!」となりました。 当時の弊社試作品の数々
焼き物のような感じ(色合い)と、薄さにこだわっておりました。
「焼かないやきもの」鳴子漆器とのコラボレーション
2021年2月に、大崎市鳴子温泉にある「瀾漆工房」小野寺公夫塗師を訪ね、弊社で作製しているCNC粘土造形物(CNC胎)に、天然漆塗りによる仕上げをお願いできないか相談したところ、快諾をいただき、協業がスタートしました。
持ち込んだ弊社試作品の数々 石膏型を使い、形状安定を狙ったもの 透き漆のみで塗り立てた挑戦的な試作品
「焼かないやきもの」試作品
2019年年始には、CNCをベースに紙粘土を作製し、粘土造形で石のように硬いものを作製し、耐水性付与のため各種塗料を塗布する試みでPoCをしておりました。
まだCNC自体が貴重でごく小さいものしか作れませんでした。
手び練り、紐づくり成形です成形後乾燥したもの(左)に天然漆塗りを施したもの。
これで、熱湯を注いでも大丈夫になりました。中を塗るのに苦労しましたが、一輪挿しも試作
陶器のような形と磁器のような硬さ、漆塗りによる艶感の融合
2020年になり、コロナ禍を受け、全て手作り、自社で完結できる商品開発をすることになり、「焼かないやきもの」の完成度を高めることになりました。
成形よりも乾燥時の歪みが問題となり、今でもそれは続く CNC粘土の組成も色々と試し、データを蓄積 乾燥時の縮みが陶芸粘土よりも大きく、これが硬さの要因である一方、成形時には歓迎されない点 サイズも実用的なところまで拡大 形状安定化のため、石膏型使用の検討 石膏型で薄さを追求したものは、光が透けるほどの薄さに仕上げることが可能
原材料へのこだわり
「新世器」に使用している材料は、こだわりぬいたものです。
これからの(特に、日用品の類の)ものづくりは「製造」、「使用」、そして「廃棄」の際の性質、環境負荷を総合的に考慮したものが良いと考えます。
・新世器に用いているCNCは綿廃材から製造しています。(CNC粘土調製時にほんの少し加える他の原料由来のセルロースも日本(東北地方)産のものです)
・成形時に焼成が必要ないため、省エネ、二酸化炭素の排出を削減できます。
・天然漆を塗膜として用いているため、最後まで天然物100%で器として実用可能なものが出来ます。
・使用時には軽いのに丈夫、かつガラスや陶磁器のように割れて鋭い破片が出ることがなく安全です。
・漆膜には抗菌作用があることは古来から知られている事です。(天然漆膜には新型コロナウイルスを減少させる効果もあるようです。)
・天然材料のみで作られているため、自然分解性を有します、廃棄時に土に還ります。焼却としてもよく燃えるほか、金属由来の有害ガスを出しません。